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アイテム詳細

山崎 豊子

文藝春秋

グループ:本

ランキング:4939

価格:¥ 1,600  定価:¥ 1,600

発売日:2009-04-24

在庫あり。

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カスタマーレビュー

断筆すべき  (2009-11-02)
沖縄の悲劇を描きたいという作者の意図は十分に汲むが、『二つの祖国』『大地の子』の臨場感はまったく感じられず。
『不毛地帯』と『沈まぬ太陽』での瀬島龍三の人物像があまりに掛け離れた時点で断筆すべきでなかったのではないか

国家公務員法100条秘密を守る義務違反を唆した111条の罪。  (2009-10-13)
過去に特に印象が強かった山崎豊子著作は、「白い巨塔」「華麗なる一族」「大地の子」であった。本書「運命の人」は第一巻を読んだだけでの印象では、これまでの壮大なドラマの作品に比べるとあまりに実名に近い人々の登場であり、逆に深みが失せてしまったかにも思える。第二巻以降の話の展開に期待はしている。とは言っても実際の事件を知っているだけにこれまでの大作とは感動度合いが違うだろうが。全国紙である読日、旭日と並ぶ毎朝新聞の政治部、その外務省詰めキャップの弓成亮太。剛腕記者の資質に恵まれてはいるが、上司に対する態度は礼節に欠け、傲慢、自信過剰、傍若無人、態度がでかい、風を切って歩く的な組織では好かれない嫌な記者だ。毎朝新聞の上司は、指導力を欠く司政治部長、事なかれ主義で論外の牧野編集局長というさもありなん有様だが、主人公が唯一尊敬している檜垣筆頭デスクもいる。政治家は、佐橋総理大臣、田淵角造、福出武夫、二木丈雄、田川七助、鈴森善市、主人公が「お父ちゃん」と慕う弘池会会長の小平正良。三角大福ならぬ二角小福となる。外務省は、大場駐米大使、林事務次官、安西審議官、川崎北米一課長、審議官付き事務官の三木昭子、父のバナナ王の弓成正助。これだけ登場すると面白い。沖縄返還交渉に伴い軍用地の原状回復に関する復元補償費、その欺瞞を暴く3通の外務省極秘電信案3通のコピー、弁護士出身と信用し参考の為にと見せた相手が何と社進党の横溝宏だ。思わぬ展開に動転する主人公。この弓成という私が忌み嫌う人間性、番記者と外務省審議官の癒着、省内の守秘義務の不徹底、様々な個所でその裏側、実態が見えてきて後味は悪い。三木昭子は国家公務員法100条違反で自首、弓成亮太は同法111条で逮捕状を執行されたところで第一巻は終わった。

5巻を書かんかい!  (2009-09-02)
もっとも山崎豊子らしい作品かもしれない。題材としているのは西山事件。ジャーナリズムのあり方が司法の場に及んだ特異な事件であり、故に、ジャーナリズムのあり方が多方面から考察された事件。それに情事、人間ドラマが絡むのだから、山崎にとってこれほどの題材はないはずだ。なんてったって、西山は山崎と同業の新聞記者。それも、同じ毎日新聞。

華麗なる一族ほど現実からかけ離れているわけでもなく、沈まぬ太陽ほどには主人公に肩入れされているわけではないので、ノンフィクションとして歴史を回顧しながら、ジャーナリズムについて再考するには良書であると評価できる。

しかし、難点は西山の沖縄時代で終わっていること。西山は2005年に国家賠償請求訴訟を提起し、控訴、上告した。それも棄却されると2008年には外務省と財務省に対して外交文書の情報公開を求めている。

つまり、西山事件は少なくとも西山の中では終わっていないのだ。にもかかわらず、この辺りについては語られることなく、西山の沖縄での生活で話は終わっている。戦後の沖縄で何が起こったかを国民が知ることは重要だが、それを書いた本は他にたくさんある。山崎豊子には現在に至るまでの西山事件の本質と西山の執念とその真意、また、これらを取り巻く人間ドラマを追求して欲しかった。

現在では衰退しつつある新聞業界がまだ元気だった頃の話、面白い!  (2009-08-25)
恐らく著者が80歳頃から書き始めた最後の長編、その1巻を読み終えました。あまり世の中に知られることのない裏側の事情まで克明に物語りに仕上げ読ませてくれます。こうした取材力にはいつも驚かされますし、大作を紡ぎ出す精神力に敬意を表します。著者はもともと毎日新聞の社員ですから、それこそ太い情報源があるのかもしれません。新聞社と政治家、官僚とのつながりがリアルに描かれていてそうした業界を知らない私にとっては興味深いものでした。
さて、問題の密約文書については、2009年現時点でも弓成記者のモデルが裁判で争っており現在進行形でニュースを読むことができます。沖縄返還の密約については、費用の肩代わりだけでなく、核兵器の持込問題なども存在します。これは若泉敬著「他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス」に詳しいのでお薦めします。沖縄返還を成し遂げるためその大事業の功績の影に様々な已むに已まれぬ選択をわが国はしてきたことになります。きれい事だけでは済まない歴史の奥深さを感じました。さて2巻以降が楽しみです。

正義とは?  (2009-08-13)
1-4の感想をまとめて。
新聞記者の物語。知る権利と国家機密、マスコミ対権力という対決図式の中で、正義を求めて(?)闘うやり手の記者が裁判を通して、実は、自分自身と戦っていく。。。という何ともセンセーショナルではあるけれど、切なくもある物語だった。女性作家ということもあり、記者と関係を持った、女性公務員の変身には、真実味があり、こういう人にかかったら、男性は辛いだろうなあ。と思わせる。妻子も捨て、隠遁生活に入って、沖縄と向き合う主人公。正義の追求のために、払った代償はあまりに大きかった。人間社会、一体、正義とは、どこにあるのか?と考えさせられる小説である。膨大な資料から、ここまで、読ませる小説を上梓された、山崎さんの衰えぬ社会派精神に敬意を表したい。