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カスタマーレビュー ![]()
回収されてない伏線が気になる
(2010-06-03)
今回、ペーパーカットはキャビネッセンスを奪っても殺しはしないのですが、かえって残酷な結末になっています。宇宙人にすら生きている値打ちがないとされてなお生きている人間が三人も…。
作者もあまりにも救いがないと思ったのか、オチにひねりを入れるのですが、これがナイトウォッチシリーズともろに関係しているうえに、完結していないので、読者には消化不良に思えてしまいます。
ソウルドロップシリーズの良いところは、どんな極悪人でもキャビネッセンスを奪われるときに良かれ悪かれ、無意味な存在ではなかったと実感できる場面ではないでしょうか。今回のペーパーカットはブギーポップの逆バージョンなんですね。
個人的にソウルドロップシリーズでは一番救いのない話と思えました。
相変わらずさすがの出来だと思う
(2010-05-25)
ソウルドロップシリーズの第5作目。
前作からおよそ2年ぶりの新作。時間が空いていたということ、また、このシリーズは今作でまだ5作目と比較的少ないので、どんな話だったか覚えているか、という不安も若干あったが、読み始めて間もなく、そんな不安は吹き飛んでしまった。「ブギーポップ」や「〜事件」のシリーズについてもいえることだが、作品の持つ世界観、空気感というものが抜群だと改めて感じさせられた。上遠野浩平という作家の創る世界が好きな人間ならば、迷わず読むべきだし、読んだことのない人間も読んでみるべきだろう。少なくとも、読まずに知らないままよりは、向き不向きを確認する意味でもその方が良いと思う。敢えて一点だけいうなら、もっと沢山書いて欲しいということだけか。
残された世界の住人達
(2010-02-12)
東澱久既雄の寝所に侵入した少女、舟曳沙遊里は、ペイパーカットの秘密と引き換えに、舟曳尚悠紀の残した未完成映画の調査協力を願い出る。東澱三兄妹の次兄である早見任敦に預けられた沙遊里は、伊佐俊一と共に、撮影候補地だった場所を巡るのだが、それを妨害するようにサーカムの幹部が現れる。
一本の未完成映画と、その映画に人生を左右された人々が織りなす物語。
エンターテインメント作品が面白いか面白くないかは、作品のテーマが高尚か低俗かではなく、作り上げられた世界がどれだけ読み手の“リアリティ”を喚起できるかにかかっていると思う。本当にそれがあるかどうかではなく、もしかしたらあるかも、あったらいいな、と思わせることができたら勝ちなのだろう。
この“リアリティ”が極めて高くなると、作品世界のキャラクターが現実にいるかのように錯覚させられたり、作品に影響を受けて現実に行動する人々も登場したりする。つまり、作者以外の作品の作り手が登場するのだ。
元々の作者が作った世界と、新たな作り手たちが築き上げた世界。いったいどちらが本物なのだろう。きっと答えは、読み手によって異なってくるのである。