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アイテム詳細
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レビュー(Amazon.co.jp)
小澤征爾の身体全体から発されるオーラ、そして集中力に圧倒される。鷹のような眼光で、髪を振り乱して指揮をするその姿は、異様に人を惹きつける何かがある。このオーラは、CDでは捉えることはできない。
小澤の指揮をDVDでつぶさに見ていると、なぜこのような音楽なのかが、一つの必然性として感じられてくる。たとえば、第1楽章冒頭、霧のような不安のクレッシェンドを、小澤は遠くに明滅する稲妻の閃光のように、かすかでもはっきりと表現しようとしているのが手に取るようにわかる。第3楽章の終わりと第4楽章の始まりの間の沈黙が、小澤の表情がわかるDVDだからこそ、フェルマータの休符となっていることを、明確に読み取ることができる。第4楽章の終結部のアッチェランドも、絶対に破綻しないように細かく刻む小澤の指揮ぶりは興味深い。また、サイトウ・キネン・オーケストラの面々の真摯な表情、一番後ろまで血眼になって音楽に没頭している姿。そういう光景には、意外と日頃の演奏会ではなかなかお目にかかれないものだ。
メンバーは驚異的な豪華さ。元ベルリン・フィルの名物奏者カール・ライスター(クラリネット)とライナー・ツェペリッツ(コントラバス)、バンベルク交響楽団からはラデク・バボラーク(ホルン、現在はベルリン・フィル)、ボストン交響楽団からはエヴァレット・ファース(ティンパニ)とティモシー・モリソン(トランペット)、ウィーン・フィルからはハンス・ストレッカー(トロンボーン)、日本人も内外のオーケストラのコンサートマスター、首席奏者をはじめ、今井信子(ヴィオラ)、工藤重典(フルート)、宮本文昭(オーボエ)などが参加、目も眩むばかりのスタープレイヤー軍団である。彼らが小澤の棒のもとに集い、一心不乱に音楽に打ち込んでいる姿は「純粋」の一語に尽きる。理想のオーケストラという言葉さえ頭をかすめる。小澤とサイトウ・キネン・オーケストラのもっている特殊な雰囲気、そしてぴたっと焦点の合った一糸乱れぬアンサンブルによる、一陣の風のようなベートーヴェン。この演奏自体が、一つの驚くべき祝祭だったのだということを改めて知らされるディスクである。(林田直樹)
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