|
|
アイテム詳細
カスタマーレビュー ![]()
いわずと知れた、日本映画の名作、必見です。原作:松本清張×監督:野村芳太郎×脚本:橋本忍,山田洋次の豪華製作陣による、人間の「宿命」を描く名作。傑作社会派ミステリーでありながら、より人間ドラマである。
(2007-05-01)
いわずと知れた、日本映画の名作、必見です。
国鉄・蒲田駅操車場で起きた殺人事件、二人の刑事の執拗な捜査による意外な物証から、やがて容疑者が浮かび上がる。
見直して最も感じたのは、物語序盤から少しずつ地道に進められていく捜査過程が、丁寧に描かれているということです。
その捜査は、名物刑事の強引な勘や、無理な偶然などではなく、きちんと捜査されて除々に浮かび上がる真実と過去であるからこそ、その物語に引き込まれていきます。
このために、クライマックスの、和賀英良とピアノ協奏曲「宿命」の演奏を背景に、丹波哲郎が涙ながらに過去を語るシーンが生きてきて、感動に導かれるものだと思います。
このピアノ協奏曲「宿命」もまた本作において非常に大きくウェイトを締めており、菅野光亮氏の作曲・ピアノ演奏(音楽監督:芥川也寸志氏の協力)による音楽、四季の映像、俳優陣の名演の相乗効果がクライマックスの感動を呼んでいます。
丹波哲郎演ずる刑事は、執念深いことはあっても普通の家族持ちであるし、森田健作も若く真面目ではあっても、二人とも普通の人間であるところも、話をよりいっそうリアルに感じさせ重要であると思います。
加藤剛さんは、出演シーン特にせりふは思ったより少ないにもかかわらず、「宿命」を「生まれて来たことと、生きているということ」と語る場面など存在感があり、特にコンサートでの演奏時の「表情」で、そこに至るまでの人生を表現している様が強く印象に残ります。
他にも、終盤の加藤嘉さん、緒方拳さんら俳優陣の人間味のあふれる演技にも感動必至です。
個人的には、「八つ墓村」「八甲田山」にも出演した加藤健一さんが駐在のおまわりさん役で出演しているのも要チェック。現在は、加藤健一事務所(1980年〜)・劇団を主宰されており、下北沢本多劇場での毎年数回の公演で精力的に活動されています。
日本の美しい風景に秘められた悲劇−−1970年代から見た日本の戦前
(2006-05-20)
この映画を「メロドラマ」と呼ぶ事は、容易である。事実、メロドラマ的な部分は有る。又、幼い頃、放浪生活を送って、教育を受けられなかった人物が、ピアニストであり、作曲家である様な地位を得ると言ふ設定に無理で有る事も明らかである。しかし、私は、この映画の、そうした欠点をあげつらひたいとは思はない。
私は、この映画を、1970年代に映画館で観た。その時の衝撃は忘れる事が出来無いが、今思えば、戦前の日本の差別と貧困を、戦後に結び付ける事が出来たのは、1970年代が最後であっただろう。「戦前」が更に遠くなる1980年代以降にこの物語を映画にしても、もう、観客は、「戦前」の悲劇を現実感を持って見つめる事は出来無かったに違い無い。−−だから、この物語を21世紀の物語に変えてテレビドラマにする事は、空しいのである。
いい映画である。先ず、『羅生門』や『切腹』で、過去と現在が交錯する台本を書いて来た脚本家、橋本忍が加わった台本が、見事である。
又、感傷的ではあるが、この映画の音楽は、私も好きである。そして、私は、何よりも、この映画に漂ふ旅情が、好きである。−−この映画は、私を、1970年代の日本に連れ戻してくれるかの様である。−−日本の美しい風景を至る所で見せながら、その美しい風景の中に、かつて、悲惨な運命を強いられた名も無い人々が居た事を観客に想起させるこの映画は、これからも、多くの人々を感動させ続けるに違い無い。
(西岡昌紀・内科医/吉川友梨ちゃん失踪から3年目の日に)
社会性を重んじた作品になっているし、音楽がすばらしい
(2004-03-20)
原作とはかなりかけ離れた作品だが、どちらかというと映画の方がずっといい。ハンセン病といういわれなき差別の元で起きた犯罪が何ともたまらない。松本清朝の原作では、むしろ超現代音楽を使った連続殺人という結果で、その原因を主人公出自が過去のハンセン病にあったというのだから、社会性があまり感じられない。野村監督が、ハンセン病差別にテーマを置いたことはすばらしい。国の長い隔離政策がもたらした本当にいわれなき差別は、法律が改正された今でも、ついこの間某ホテルで元患者の宿泊拒否をまねいている。
蒲田駅で起きた殺人事件から、この映画は始まるが、丹波哲郎、森田健作演じるベテランと若手の刑事が事件を解決していく。被害者三木謙一は一点の非の置き所のない元巡査。恨みを買う要素は何もない。難航する捜査陣にあせりの見える中、浮かんできた犯人像は何と、天才音楽家の和賀英良。被害者と犯人のつながりは、太平洋戦争中の父と子の別れにあった。当時頼病といわれ、ひどい差別をうけて故郷を去るを余儀なくされた本宮父子を、人情に厚い三木巡査が保護し、父親を施設に送り、息子を我が子のようにかわいがるが、その子は三木の元を去ってしまう。そして、大阪大空襲によって和賀英良なる人物が作られる。清朝の推理小説が、病気の問題だけではなく、戦争の問題も巧みに取り入れて名作に仕上がっている。前編を通して流れる「宿命」の曲もすばらしく、逮捕に向う両刑事に苦悩の表情をひきたてる。加藤剛が演じる和賀、汗びっしょりで「宿命」のコンサートを終え、喝采の中、満足そうな表情で観客に応える。ハンセン病に限らず、エイズなどの病気に今でも残る差別が本当になくなるのはいつのことだろうか。。。
美しいだけが人生ではない
(2001-11-20)
加藤剛演じる和我英良は、才能溢れる新進音楽家である。謎に包まれた生い立ちと、その秘められた過去とは・・・・ベテラン刑事に丹波哲朗、新人刑事に森田健作が扮し、あわや迷宮入りの殺人事件を解決へと導く。執念の捜査の果てに二人が見たものは、美しくも哀しい人間の愛憎であった。朴訥な巡査には緒方拳。迫真の放浪者はハマリ役の加藤嘉。若々しくも陰翳ある美女に島田陽子。松本清張の同名小説をベースに、これだけの人間ドラマを造り上げた野村芳太郎監督の手腕は、やはりただ者ではない。美しい映像と芥川也寸志の音楽がマッチして、まさに日本映画史上に残る名作である。