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オーディション用写真をスタジオで撮る

written by 岡田隆志

  Last Updated: 2004/03/24
本記事を無断で複製・転載することを禁じます。
copyright(c)2001-2022 Scramble-Egg Inc.

オーディション一次審査突破大作戦として、履歴書編写真編を掲載しましたが、実行できていますか?

写真編を読んでくださった方から最近こんな感想をいただきましたので紹介しましょう。次はもっとチャンスが増えるといいですね。

今日落選結果が届いて何が悪かったのかわからなかったのですが、ネットでこのページをみつけとても参考になりました!!

写真編の最後に、「簡単にあきらめずに何度か試し、それでもだめなら別のアプローチで」、と書きましたが、今回は写真編の続編として、スタジオで撮影する場合について考えてみましょう。

スタジオを借りてプロのカメラマンに撮ってもらうわけですから、素人が撮るのとは写真の仕上がりが格段にいいのは当然です。そのかわり、当たり前のことですが、それなりのお金がかかることは覚悟してください。

今回のコラム作成にあたり、スタジオ協力およびカメラマンとしてデジタルフォトスタジオ・リライの來山(きたやま)さんに、モデルとしてRecommended Eggs発掘オーディションに合格した横川心愛(よこかわ・みのり)ちゃん(4月から中学2年生)に協力していただきました。

料金のこと

料金の話を先にしておきましょう。撮ってもらう側としては「何カットで何枚プリントしていくら」という基準で考えるのがふつうでしょう。逆に撮る立場になって考えてみてください。写真撮影・現像にかかる費用のうち、いちばんお金がかかるのはスタジオ代とカメラマンの人件費です。いいスタジオ(照明などのスタジオ機器)で優秀なカメラマンに撮ってもらえば高くなります。

撮影時間を30分ぐらいとすると、30分のスタジオ代と30分の人件費は最低かかるわけですから、もろもろ考えても最低5,000円はかかる(しかもそれでは儲けは出ない)ものと思ったほうがいいでしょう。メイクなどもお願いしたらさらにかかってしまいます。

極端に安いところは、スタジオ機材が古かったり、カメラマンが素人やカメラ小僧(実際はおじさんですが^^;)だったりすることも考えられますので、仕上がり見本を見せてもらうなどしてよく確認してから始めましょう。

スタジオ撮影の利点

屋外ではなくスタジオで撮る利点をスタジオリライの來山さんにお聞きしたところ、

  1. ライティングが好きにできる
  2. 見物人がいないことで、笑顔が作りやすくなる

と答えていただきました。

ライティング、つまり被写体への光の当たり方を調整することで、求めているイメージのショットを屋外よりもずっと簡単に撮ることができるという意味です。イベントなどでの撮影時に露出やホワイトバランスのことを話題にすることがありますが、そういう心配はしなくていいということです。

屋外で光のコントロールをしようとするとレフ板(光を反射させるもの)を使わなければならなくなり、そうすると、雑誌か何かの撮影かと思って人が寄ってきたりすることがあり、モデルがプロならばそれほど気にしなくてもいいですが、素人の場合はそれだけでいい表情が作れない場合が確かにあります。

今回、モデルをしてくれた心愛(みのり)ちゃんにも感想を聞いてみました。

「時間が早く過ぎたし、いつもより緊張しませんでした。カメラマンの人が安心感がありました。自分のためだけに撮ってくれたというのがすごくいいです」

とのことでした。

カメラマンに伝えること

オーディション用写真を撮ってもらうときにカメラマンの人に伝えるべきことはどんなことか、とお聞きしたところ、

「撮ってほしいイメージをできるだけ具体的に伝えてほしい」(來山さん)

とのことでした。うまく伝える自信がない場合には見本などを持っていったほうがいいでしょう。

――同じ写真でも、オーディションによって、審査員によって伝わり方が違います。そういう場合には?

「となると、もう少し具体的な対策、撮りたいイメージをよりはっきりさせたほうがいいですよね」(來山さん)

とのことなので、撮ってもらう側のみなさんが、受けたいオーディションの傾向をよく研究し、しっかりとした目的を持って撮影にのぞんだほうがいいということになります。

どんな写真を撮ってもらえばいいのか

さてここからはオーディションを多数取材・審査した経験を通して、共通して言えそうなことをこのコラムを読んでいる方だけにお教えしましょう。

[ポイント1] あまりにプロっぽいものは避ける

オーディションの内容にもよるので一概に言えませんが、いかにも「プロの人に撮ってもらい、最高級の仕上げをしました」っていう写真はあまり好まれないような気がします。なぜなら、そういう写真を見ると、「きっと現実は写真以下だろう……」となり、実際に会ってもやっぱり期待を裏切られることがしばしばあるからです。

スカウトする側はあなたの現在の最高の状態ではなく、数年後のあなたの姿を写真のなかに見つけるので、事務所主催のオーディション用には作りすぎないようにしてください。

芸能プロダクションのアーチスト写真にはそういう仕掛けが必要ですが、オーディション用の応募写真としては出来が良すぎるのも問題あり、かもしれませんよ。

ただし、即戦力を求めている(出演日程が決まっているような)映画のキャストやモデルなどは、きちんとした写真のほうが「プロっぽい仕事をしてくれそうだ」という印象を持ってもらえることもあるので、やはりオーディションによって応募写真は選ぶ必要があります。

[ポイント2] モノトーンの服は避ける

今回、心愛ちゃんはモノトーン中心の服で来てしまいましたが、オーディション用の写真は白とか黒とかよりも、なるべくはっきりした色があるものがいいでしょう。ロゴがついているようなときでも、曖昧(あいまい)ではなく、境界線がはっきりしたものがフレッシュ感があっていいです。大人の方でも清潔な感じ、清楚な感じ、年相応な感じがよいでしょう。

余談ですが、ある記者発表のときに、出演者がすべてモノトーンの服で現れ、閉口したことがありました。一緒に取材に来ていたスポーツ新聞のカメラマンが「白と黒ばっかりで露出がきっとメチャメチャだよ」とぼやいていました。カメラマンの方に余計な気づかいをさせないようにすることも必要かもしれませんよ。

あまり深く考えず、モノトーンよりも原色系が目立つことは当たり前のこととして、自分の好みではなく、主催者の好みに合わせることもテクニックのひとつと考えましょう。

[ポイント3] 基本は笑顔

オーディション一次審査突破大作戦~写真編にも書きましたが、基本は笑顔です。人に夢を与える仕事をする人は目も笑顔も美しくあるべきと私は考えています。カメラマンと協力して、いいカットを撮ってもらうようにしてください。

フォトドキュメント

それでは最後に、実際にスタジオリライと横川心愛ちゃんに協力してもらい、どういうものが仕上がっていくのかを、フォトドキュメントで紹介していきましょう。

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富山県に住んでいる心愛(みのり)ちゃんには早起きしてもらい、池袋駅東口交番で待ち合わせ。(撮影:岡田)

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池袋駅徒歩8分のスタジオで少し打ち合わせしてからすぐに撮影開始。(撮影:岡田)

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撮ったその場で画面上で確認してから業務用プリンタ(KODAKプロフェッショナル8660サーマルプリンタ)で出来あがりを確認。(撮影:岡田)

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背景チェンジの合間を狙ってスナップ撮影。スタジオは教室を兼ねているのでeMacが4台ありました。(撮影:岡田)

Photo

実際にオーディション用として心愛ちゃんに使ってもらう写真を私たちがチョイスしました。

スタジオの照明機材をつなげて撮影させてもらいました。帽子の影が出ないし、撮影後の補正もしなくていいので確かに楽でした。色調補正はしていません。(撮影:岡田)

カメラ機種名:Canon EOS10D
シャッター速度: 1/180
絞り数値: 11
ISO感度: 200
レンズ:CANON EF24-70mmF2.8L

プロが撮るとこんなに違う

プロカメラマンと最高のスタジオ機材、そしてオーディション取材経験豊富なスクランブルエッグ編集部が組んで、オーディション用写真を作ると、こんな感じになります。

Photo
オーディション用上半身写真
(撮影:スタジオリライ)
基本は笑顔。さわやかな笑顔が印象に残ります。

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オーディション用全身写真
(撮影:スタジオリライ)
ジーンズでも体の線がはっきりしている構図にし、首を少しかたむけることでかわいさが出ています。

カメラ機種名:NIKON D100(通常はKODAK DCS14nを使っているそうです)
シャッター速度:1/160  絞り数値:10.0
レンズ:AF Zoom Nikkor 24~85mm F2.8~4D

写真としてはいいけれど、オーディション用には見送ることになった例も一緒にお見せしますので、参考にしてください。

Photo
中1の女の子としては生々しい感じです。アイドル写真ならこんな子に必ずはまる層がいるのですが、オーディション用には使いづらい。心愛ちゃんに限っていえばキャミソールにすると大人っぽい雰囲気になりました。(撮影:スタジオリライ)

photo
笑顔の出来としては上の全身写真よりも良いのですが、真正面から撮ると平面的に映るし、足が短く見えてオーディション写真としては不利になります。(撮影:スタジオリライ)

カメラマンにあらかじめ半年前の写真を渡しておいたのですが、「預かった写真よりもはるかに(実物のほうが)いい」と驚かれました。それは中1という、とても変わりやすい年頃で、本人がはるかにかわいく変わってきつつあるということなのです。半年前に会って写真を撮ったときよりもかわいくなっているのですから、撮影したカメラマンのせいではありません。本サイトRecommended Eggsの桐村萌絵ちゃんの中1中2の違いを見ればよくわかると思います。美しく変わっていく年頃には昔の写真で応募したら損ですよ。

それでは読者のみなさんの成功を祈っています。いい結果報告をお待ちしています。(取材協力:スタジオリライ、横川心愛、KEN)

Online Column - オーディションの一次審査に通ったら

※今回撮影に協力していただいたスタジオリライは残念なことに、2004年3月いっぱいで閉館となってしまいました。参考までにこのサービスを利用した場合の料金をお伝えしておきます。同等なサービスを提供してくれるフォトスタジオがありましたらリンクを張りますのでご連絡ください。

撮影~プリントまで約1時間
2ポーズ、六つ切りプリント2枚+写真ファイル付き
5,040円(税込み)
追加プリントは800円/枚(オーディション用だと6枚)です。
CD-R渡しは+2,000円

本記事を無断で複製・転載することを禁じます。
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【満足度】 5
【コメント】質問なんですが、親に撮ってもらう写真とスタジオで撮る写真、正直どちらが受かりやすいですか?あと、メイクもどのようにすればいいですか?(他の方と重複してると思いますが、すいません教えて下さい)
【ペンネーム】(無記入)

■正直、どちらともいえないです。オーディションの性格にもよりますし、審査員の好みにも左右されます。オーディションの目的をよく見きわめて有利になる方法を考えるしかないと思います。コンテスト・モデル・キャンペーンガールなどは、見た目の容姿は重要ですから、親の写真よりはスタジオの写真がいいと思います。タレント発掘などのオーディションでは数年後に実際にどう変化していくのかを見きわめたいので今のベストよりも将来性が重要視されるため、あんまり完成しすぎた写真やメイクじゃないほうがいいと思いますよ。(岡田)