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石川梨華の卒業とモー娘。の解散問題

written by 上木憲文

  Last Updated: 2004/07/05
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石川梨華が卒業するのは、2005年春ということなので、それまでモー娘。は続くらしい。本当に鬼に笑われないのか、検証してみたいと思います。

問題の出発点

昨年の今ごろ、つまり「AS FOR ONE DAY」の頃(13~14万は出ていた時期)ですが、モー娘。のCDセールスが10万枚を切ったら、「解散」について書こうと決めていました。新曲「浪漫~MY DEAR BOY~」(以下、「浪漫」と表記)は、その条件に合致するようです。

10万という数字は、単なる区切りを意味しているわけではなく、セールス的には死守ラインと思っています。たとえば、後藤真希にしても、松浦亜弥にしても1年半前までは、10万枚以上のCDセールスを記録していましたが、10万に届かなくなると、一気に数字が減って、5万枚がやっとになってしまいました。

2人とも、「5万枚歌手」、と勝手に呼んでいますが、モー娘。もそれに仲間入りする可能性があります。14人のユニットで5万枚は×でしょう。ついでに言えば、8人で1万枚は当然×です。

それに、以前Online Column - 田中れいなと二人の先輩にも指摘しましたが、11作目の「恋愛レボリューション21」から、22作目の「浪漫」まで、セールス的に前作を大幅に越えることは一度もなかった、という現実があります。

通常、曲によってセールスが増えたり減ったり、ばらつくものなのですが、モー娘。の場合、トレンドはきれいな右肩下がりとなっています。実は、この説明がなかなか難しいのです。

W(ダブルユー)は、違う!?

もう一つ、理解できない謎があります。勘のいい人は、気づいていると思いますが、デビュー曲、あるいは1曲目のセールスが一番良くて、2曲目以降は何故か1曲目より数字が悪い、という事実があります。

この1年間をとっても、キッズのZYXやBerryz工房はもちろんのこと、カントリー娘。に紺野と藤本(モーニング娘。)、安倍なつみ、さくら組、おとめ組、すべて当てはまります。

写真集ですと、ファースト写真集コレクターがいますので、ファースト写真集は意外と売れる(2冊以上買うみたいですから)ものですが、CDに関しては、コレクターの存在は知りません。減少する特別な理由がありそうですが、よくわかりません。

Wが、「恋のバカンス」でデビューしました。シングルよりも、アルバム「デュオU&U」のほうが売れているみたいですが、どちらの数字を信用すればいいのか微妙です。このへんで、「デビュー曲がピーク」、という過去の流れを断ちきってほしいと思いますが、どんなものでしょうか。

飯田圭織・石川梨華の卒業問題

モー娘。の新曲「浪漫」は、5月12日発売ですが、初日のセールス数字がわかれば、トータルでどのくらい売れるのか、簡単に予測ができます。ですから12日または13日に10万枚は難しいそうだ、という判断ができたはずです。

メンバーの卒業は、微妙な問題ですから、発表のタイミングは難しいのですが、この時期に発表したのは、明らかに「浪漫」へのてこ入れとしか思えません。

たいてい、卒業の6~7ヶ月前には発表していますので、飯田圭織に関してはこんなものかと思いますが、石川梨華に関しては1年後の話です。それに、エコモニ。(このユニットを見ていると、つい、夏焼雅と菅谷梨沙子のユニットを想像してしまいます)の発表も怪しいタイミングですが、おかげで、道重さゆみのコラムが読まれたので、私個人としては○です。

この2人の卒業に関しては、当然(飯田圭織)と意外(石川梨華)が混在しています。特に、石川梨華は、将来のリーダー候補と思っていましたので、意外感があります。

うがった見方をすれば、進行中のオーディションからいい子をスカウトできる目途がたったので、石川梨華はいらない、となったのかもしれません。

6期生が初めて参加した「シャボン玉」はそれなりに売れましたが、持続性はありませんでした。投票で関与できた6期生ですらこのような状況なのですから、7期生が入っても一瞬の人気で終わる可能性が高いと思われます。

握手会から垣間見た世界

タレントとファンの握手会というのは、一般的には「触れ合い」ということになっていますが、例外もあります。コラム「Berryz工房」の企業秘密、では触れませんでしたが、2月7日ラフォーレミュージアム六本木で行われたハロプロキッズの握手会は、異様な雰囲気が漂っていました。

ひとことでいえば、「キッズによるファンの争奪戦」、がステージ上で行われ、現実にAからBに移ったファンもいるようですが、コップの中の争いとしか思えません。1人ファンを獲得すると、お給料が違ってくるのかもしれませんが、現実には検証方法がありません。

キッズの行動には、「ファンクラブの会員だけがファン」、という間違った思い込みがあるようです。あるいは、誰かが吹き込んだ意見なのかもしれませんが、完全に内向きの考え方です。そしてそこから、ファンクラブ会員によるミニ共同体が存在しているような錯覚が創り出され、一般のファンは排除されているように思われます。

そうした共同体になじめず、催し物に参加できないファンは、去って行くしかないわけですが、それはキッズだけではなく、モー娘。にも当てはまる構図のような気がしています。

アイドル経済学の恐怖

前回のコラム「Berryz工房の事件簿」の中で、アイドル経済学について書きました。簡単にいえば、ファンが半減しても、ファンが2倍のお金を使えば、人気を維持することが可能、というものです。

たとえば、シングルCDを2,100円にするとか、ミュージカルに3回観にきた人には、翌年は6回観に来てもらうとか、コンサート料金を2倍に、つまり5,250円を10,500円に、8,400円を16,800円にすれば良いわけです。

ファンクラブの会員だけがファン、と規定すればそうなります。ただ、この手法が長続きするとは思えません。一般的には、ファンが使う金額は年々減少するものですから、いつかは破綻します。

基本は、ファンの裾野を広げることだと思います。キッズを取り込んだのは、長期的視野に基づいた戦略のはずだったと思いますが、数字を見る限り成功しているとは思えません。子供が減少しているから仕方ないとか、CDを買う人だけがファンではない、という弁明は採用できません。

原因は、子供の小遣いの絶対額が少ないのに、無理矢理そこにアイドル経済学を持ち込もうとしたからで、新しい手法が必要な気がしています。

後藤真希の卒業も、安倍なつみの卒業もセールス的には、かなりの悪影響があったと思いますが、どうせ減りつづけているセールスですから、誰を卒業させても同じ、という理屈も成り立ちます。それを前提に、影響の大きい順に卒業させたのでしょう。

石川梨華の卒業は、「モーニング娘。は、永遠に不滅です」、という宣言のように響きますが、個人的には、明日「解散発表」があっても不思議ではない状況下での、空元気ではないかと思っています。

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