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今回はちょっと趣向を変えて、芸能予備軍に大人気の鬼束ちひろの曲について検証し、あわせてこれまでリリースされた曲に関して、選曲のアドバイスをしてみたいと思います。
2ndシングル「月光」が、多くのオーディション、発表会で歌われたことは、12号の「『インソムニア』を子守唄に」で触れたばかりですが、その後リリースされたシングルも、コンスタントに選曲されるなど、安定した人気を誇っています。最近では「BSジュニアのど自慢」などで小・中学生が取り上げる例も目立っており、彼女の曲は、もはや芸能予備軍の必須アイテムとなったと言っていいでしょう。
なぜ、これだけ彼女の曲が歌われるかをまとめたのが次の3点です。
第1に、メロディー、アレンジがシンプルであること。
12号の原稿でも触れたように、彼女の曲は、70年代シンガー・ソングライターを想起させるシンプルなメロディー、アレンジを持っています。これはボーカルをより引き立たせる役目を果たしており、最近流行のア・カペラ感覚で選曲している人も多いのではないでしょうか。また、演歌からの転向組が目立つのも、そうした70年代テイストが、演歌予備軍の琴線をくすぐるからかもしれません。
第2に、歌詞に露骨な性描写が含まれていないこと。
これは、鬼束と比較されるCocco、椎名林檎との決定的な違いです。実際、芸能スクールの中には、発表会などの場で、彼女らの曲をほとんど歌わない所も見受けられるようです。たとえ放送コード的にはOKでも、具体的な描写、用語が含まれる曲は教えたくないという意図があるのでしょう。
もちろん、Cocco、椎名に憧れて芸能スクールに入校する人もたくさんいるでしょうから、そうしたアーチスト志望の人に鬼束の曲をシフトさせていることは十分考えられます。
第3に「私は、あの歌手を歌う人とは違う」という意識を満足させる存在であること。
鬼束ちひろは、音楽以外でのメディア露出を極力抑えることで、音楽に無関心な人でも知っている(=新聞、週刊誌を騒がせている)アーチスト、ユニットとの差別化を図っています。
歌う側にとっても「人とは違う曲を歌っている」「いろいろな曲を聴いた中からこの曲を選んだ」という意識を満足させることができ、音楽に対する思いをオーディションの場でアピールするのには、格好のアーチストであるといえそうです。
しかし、これだけの人気アイテムになっているということは、本来、自分の個性をアピールしようと選んだ曲が、逆に個性を殺す結果にもなりかねません。水着審査など、明らかに場違いなシチュエーションで歌うことはもちろん、裸足で歌うことも、行為そのものが「モノマネ」(いわゆる「鬼束教」)と見られてしまうので避けてほしいところです。
鬼束ちひろの曲を選曲する人は、明確な「歌手志望」の意思を持っており、歌、音楽に対する思い入れが強い人だと信じています。だからこそ、一発勝負であるオーディションの選曲は、彼女以外の曲も視野において、十分吟味してほしいです。
最後に、シングル曲、カップリング/アルバム曲のおすすめ度を表にまとめてみましたので参考にしてみてください。
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