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オーディションはこう見ている

written by 伊藤真一

  Last Updated: 2003/05/03
本記事を無断で複製・転載することを禁じます。
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筆者はスカウトをする立場ではないですが、芸能界志望者が出場するオーディションやプレゼンテーションの類は多少は見ています。延べでいうと千人は軽く超えていると思いますが、それくらい見ていると、どこを見るかというポイントがある程度定まってきます。全員がそういう見方をしているというわけではないでしょうが、こういう風に見られているという一例として紹介します。

説明しやすくするために、流れとして

司会の紹介でステージに登場→歌唱→自己PR→質問に対する応答→ステージ上で着席して待機

といったモデルを設定してみました。

登場時

このときは、視覚でチェック可能な項目をすばやくチェックします。

すなわち、容姿、表情、服装といった、第一印象に影響を与える項目です。第一印象についてはここのコラムに「第一印象を変えるには」というのがありますので、参考にしてください。オーディションのように短い時間で判断を下さなければいけない場合、第一印象の重要性は強調し過ぎてもし過ぎることはないでしょう。

筆者の場合、10点満点で採点する場合はこの段階で基礎点(5~7点が多い)を決めてしまい、あとの各項目の評価で1点単位で加減していくケースが大部分です。

歌唱

身も蓋もないことを言いますが、歌唱に自信があったとしても、長く歌うのは逆効果です。

上手な人の場合でもワンコーラスで十分、下手な人の場合は4小節で判定してしまいます。少しでも印象づけるために、オーディションの選曲では頭サビの楽曲が有利と言われる由縁です。あとどうしてもオリジナルの歌手と比較されてしまうので、ある程度知られている曲を選曲するのであれば、上手過ぎる歌手の曲は避けたほうが無難でしょう。

自己PR

ここで見たいのはプレゼンテーションの能力です。楽器演奏やスポーツなどの特技を披露する人がいますが、プロ並みとかいうのでなければ特に評価の対象にはしません。その特技でデビューできるわけではないですから。

たまに歌唱に絶対の自信があるのかこういう場面で再度歌唱を披露する人がいますが、マイナス評価になると思ったほうがいいでしょう。限られた時間内で同じことを繰り返すのは、最初に与えられたチャンスの際にベストを尽くしていないと思われてもしかたがありません。

質問と応答

ここでは応答の内容も大切ですが、それよりもむしろ機転の利き方というか頭の回転の速さを見ています。あまり訓練してどうなるというものではないですが、質問に対しては単なる「はい」「いいえ」ではなくて、質問者がさらにそこから話題を発展させられるような一言を加えるように意識しておくとベターだと思います。

待機時

自分の番でなくても、ステージ上にいるときは常にチェックされていることを意識してください。もちろん、無表情とか他の人への無関心とかは論外です。着席している場合には、視線の方向とか脚の組み方にも注意してください。意外とそういうところをチェックしています。



ここまでが個人の能力の評価ですが、オーディションの場合はこれに市場からみた評価が加わります。現在人気のあるタレントや歌手と同じタイプであれば彼・彼女らを超える能力が要求されるので評価がシビアになるのはやむを得ません。

一方、今いないタイプであれば、相対的な評価は高くなります。また、「この人はこういう分野にあてはまりそうだ」と具体的にイメージできる人は相対的な評価が高くなりますが、「能力は高いが仕事先がなさそうだ……」という場合には評価を下げざるを得ません。

以上、簡単ですがオーディションを見る側の視点を紹介しました。オーディションを受ける際の参考になれば幸いです。

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