「第一印象を変えるには」「アクションを起こそう」に引き続き、今回は「時代を味方につけよう」というお話をします。
本当ならば「第一印象を変え」、「プランを立て」、「アクションを起こし」、「形のあるものを残し」、「時代を味方につける」という5つのステップで解説したかったのですが、終わるのに5ヵ月もかかっていては仕方ないので、コンパクトに3回にまとめることにしました。もっと深い話については別の機会に譲ることにします。
あなたという“商品”の価値
中身を重視する人こそ、人に与える印象に気を配るべきだと、「第一印象を変えるには」で説明しました。そして、失敗を喜んで受け入れる勇気を持とうと、「アクションを起こそう」で説明しました。
これらは芸能界を目指す人だけにいえることではありません。社会人になって、人や世間に流されずに、自分の夢をかなえようと思っている人(私もその一人です)すべてにいえることだと思っています。
アクションを起こすための資料を作ろう、と前回書きました。その資料はもう作りましたか? 作っていない人は現時点で作っている人から遅れをとっていることに気づいてください。
作った資料をもう一度見直してみましょう。その資料はあなたのスタイル(将来性や個性)を表しているかを点検します。その次に、あなたの作品や個性を“商品”と考え、売る側の立場に立って考えてみるといいでしょう。
- あなたという“商品”を買ってもらえる対象はどんな人たちだろうか
- あなたという“商品”は、売るに値する値段がつけられるものなのか
- あなたという“商品”を売る人たちはあなたのために情熱を持って売ろうとしてくれるだろうか
- あなたが作る“商品”は、将来、もっと売れるものだろうか
おおまかにいうと、以上の4点の視点であなたの商品価値を自分で測ってみるといいでしょう。自分で「これじゃどうしようもない」と思うようなら、もう一度プランやスタイルを練り直して資料を作り直す必要があります。
「私はアーチストであって……」とプライドを持つのも大切ですが、あなたを売ろうとしている人たちは芸術の法則ではなく、経済の法則にのっとって動いていることを忘れないでください。しかも経済の法則にのっとったほうが成功する可能性が高くなります。学生の人にはわからないかもしれませんが、社会に出ればすぐにわかります。
つんくの「努力」に学ぶ
あなたは、将来スタッフになる人、将来ファンになってくれる人にあなたの価値を説明できるようになるのが理想的です。それは口頭でもいいし、態度でもいいし、作品でもなんでもいいでしょう。あなたの得意な方法であなたなりの個性をアピールしてください。
あなたを採用するとどういう特典があるかをわかりやすく説明しろ、などと難しいことはいいませんが、あなたが考えるあなたの付加価値は自分自身で考えておくに越したことはありません。売る側はあなたに付加価値をつけるたくさんの方法を持っていますが、より多くの材料をあなたが持っていればもっとあなたをメジャーにしてくれるでしょう。
今、時代にもてはやされているプロデューサーのつんくも明確なポリシーを持っています。
つまりこういう事だ。庶民は天才にはなれない。そして天才には勝てない。一般庶民は天才にはかなわないのだ。例えば世の中に男が100人いるとしよう。多く見積もってもその中に天才は3人といないと思う。仮に3人として、庶民には4位になれる権利があると思え! 少なくとも俺はそう考えながら生きて来た。これからもそうだ。すべての男の中で4位になろうじゃないか。少なからず「あんた、売れたからいいよな」の俺ぐらいにはなれるのだ。なぜなら俺も天才ではなく庶民だから。
『HOT-DOG PRESS』(講談社) 98年8月10日号。新連載「四位狙い」より
つんくは一見、好き勝手にやっているようにも見えますが、彼のシャ乱Qやモー娘。やハロプロでの活動のよりどころは上記に引用した部分にあると私は考えています。
それが明確な形で現れているのは「そうだ! We're ALIVE」(モーニング娘。)の冒頭・サビの部分でしょう。歌詞のサビに「努力」が4回も出てきているのは驚きですが、それも上記のポリシーに照らし合わせれば納得いくのではないでしょうか。
時代を味方につける
“天才ではなく庶民”のつんくは努力して4位狙いを目指しました。その結果、シャ乱Qをヒットさせ、モーニング娘。を大ヒットさせ、つんくブランドを確立していきました。
実際に売れていく段階で商品に付加価値をつけていったのは、本人たちではなくプロデューサー、事務所の統括マネージャー、広告代理店の営業マンなどのプロフェッショナルたちです。それらの人に目をつけてもらうためにはどうすればいいのでしょうか。
それに答えるのは簡単ではありません。“売れた”法則は分析できても、“売れる”法則はあらかじめ予測するのは難しいのです。
私たちはアーチストやタレントが売れていく過程を何人も何人も見ていますが、売れはじめるきっかけをつかむための確固たる法則はありません。ただ、売れはじめてからは雪だるま式に売れていきます。それは「ブランド」という価値をつけられた場合によく起こります。
今だと「モー娘。ブランド」「つんくブランド」となるでしょう。ちょっと前なら「安室奈美恵」「小室哲哉」、もっと前なら「おニャン子」「秋元康」、「ピンクレディー」「キャンディーズ」「山口百恵」……売れはじめたら止まらないのです。
これらの歌手、プロデューサーに共通点を見いだすのは難しいのですが、ありきたりのキーワードを使うと“時代を味方につけた”ことが共通点といえましょう。
モーニング娘。大ブレイクのきっかけは後藤真希の加入だといわれています。安室奈美恵もavexに移籍し小室哲哉プロデュースになるまでは一般の人に知られることはありませんでした。
ファーストブレイクを狙おう
時代を味方につけるためのきっかけはほんのちょっとしたことでいいのです。偶然売れてしまう、でも全然構わないでしょう。ちまたで話題になっている、だけでもいいです。あまり大きなことは考えなくても、時代の流れに敏感になって、話題に乗っかれるのなら乗ってみる、程度のことでもいいでしょう。自分の価値を自分で点検しながら、もっと多くの人に自分の価値を認めてもらえるようにするのがプロとしての第一歩です。
ファーストブレイクをつかむために今、なにをしたらいいかを3回にわたって書きました。『スクランブルエッグ』に掲載された後にブレイクしていった人は数多くいます。本誌編集部ではこれからの芸能界で活躍してくれるみなさんのファーストブレイクのお手伝いを今まで以上にしていきたいと考えています。ですから、資料をひとつでもたくさん作っていろんなオーディションにチャレンジしてください。そして私たちにファーストブレイクのお手伝いをさせてくださいね。
