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AKB48が目指す「ユニット」のカタチ

written by KEN

  Last Updated: 2006/12/14
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10月~11月にかけて、AKB48メンバーの誕生日ラッシュが続きました。
この2ヶ月間に誕生日を迎えたメンバーは下記の通りです(チーム名、年齢)。

10月17日 大島優子(K、18)
10月23日 浦野一美(A、21)
10月25日 渡邊志穂(A、19)
10月28日 野呂佳代(K、23)
11月15日 峯岸みなみ(A、14)
11月16日 河西智美(K、15)
11月19日 星野みちる(A、21)
11月22日 佐藤由加理(A、18)
11月22日 奥真奈美(K、11)
11月26日 小野恵令奈(K、13)

年齢幅は12年、野呂佳代ちゃんと奥真奈美ちゃんは、干支が一回り違う計算になります(2007年は、2人とも年女になりますね)。

このように、AKB48は「ジュニアアイドルユニット」ではありません。しかし、年齢幅の大きさが、ユニットとしてのアイデンティティを支えているのも確かです。

今回は、20歳以上の「年長組」にスポットを当てる形で、AKB48のユニットの本質を検証し、ユニットが目指すべきカタチについてコメントしてみましょう。

【ジュニアアイドルユニットの脆い部分】

AKB48が「ジュニアアイドルユニット」にならなかった理由、おそらく、それは従来にも増して「頑強な」ユニット作りを目指しているからだと私は思っています。

2006年は「ジュニアアイドルユニット」の脆い部分を露呈した出来事がいくつかありました。

1つ目は、SweetSの解散です。
昨年、メンバー2名が学業に専念するため、約半年間の休業を行い、今年4月に復帰したものの、今度は残り3名の学業問題が表面化し、解散に追い込まれました。
世代的に近い女の子を集め、SPEEDを思い出させるようなダンス・ボーカルパフォーマンスで同世代の女の子(特にダンスユニット予備軍)の支持も得、一見するとまとまりのあるユニットのように見えましたが、メンバー(親御さんも含めて)、スタッフ間の考えの隔たりは予想以上に大きかったようです。

2つ目は、村上愛さんの℃-uteからの脱退です。
彼女も、学業専念を理由にユニット脱退→芸能界引退となりましたが、脱退発表時の、事務所の事務的とも言えるコメントに、逆に事務所としての無念さを感ぜずにはいられませんでした。
ただ、安易に補充メンバーを入れずに、早期に残りのメンバーでユニットを支えて行こうという姿勢が取れたところに、ハロプロの管理能力の強さを改めて認識した次第です。

このような事例を観る限り、ジュニア世代の女の子を管理し、ユニットとして維持していくことは非常にリスクがあり、傍から見ているほど容易ではありません。秋元康プロデューサーも、おニャン子クラブ後に、いくつかのアイドルユニットをプロデュースした経験上、キッズ、ジュニア世代だけで固めたユニットは壊れやすいと踏んだのでしょう。

いずれにしても、AKB48を結成するにあたって、幅広い年齢層を集めるという考えは、早い段階でスタッフ間で意見が一致していたのは間違いありません。

【年長組の存在意義】

今までのコラムでも何度か触れていますが、「年長組」の存在意義とは何でしょう?

AKB48がメジャーデビューを果たした10月25日、元メンバーの宇佐美友紀さんが、自身のブログ「宇佐美友紀☆公式ブログ」で下記のような主旨のコメントを残しています(宇佐美友紀さんは、AKB48在籍時には最年長のメンバーでした)。

「アイドルをやって失ったもの……私は全てです」
「自由な時間、プライド、これまでの収入、友達、恋人…、普通だったらあたりまえにあるものを全て失いました」

アイドルに限らず、芸能界を目指すとき、芸能界で仕事を始めるときに、失うもの、犠牲にしなくてはいけないものはたくさんあるものです。

中学生(ジュニア世代)までの芸能予備軍は、そうした「失う」こと「犠牲にする」ことがどんな意味を持っているかについては、まだまだ頭ではつかめていないかもしれません。
それがジュニア世代の強さでもあり、脆さでもあるわけですが、仮に、ユニットの結束が揺らぎそうになったとき、もし、何らかの「忠告」をしてくれる人がメンバー内にいれば……、年長組最大の存在意義は、ユニット結束の崩壊を食い止める「防波堤」になれることではないでしょうか。

それを顕著に示してくれたのは、11月19日、星野みちるちゃんの誕生日公演の際、折井あゆみちゃんが読み上げた次のようなコメントでした。

「劇場が始まって、1日3回公演でみんなが『ツライ!』って言ったときに、みちるちゃんが『どうしてツライなんて言うのかな、観てくれる、聴いてくれるお客さんがいるのに』と言ってくれて、すごく励ましになった……」

ご存知のように、星野みちるちゃんは、シンガー・ソングライター志望で、ユニット加入前にライブハウスで活動した経歴を持っています。

上記のコメントがスタッフから出たものであれば「上から押し付けられる」という感情を持つ人もいたでしょうが、メンバーの体験から出たコメントは重みが違います。あゆ姉が言うように、初期のライブにおいて、みちるちゃんの言葉は、まさにAKB48にとっての「防波堤」になっていた気がします。

それは、秋元康プロデューサーをはじめ、スタッフが最も望んでいたユニットのあるべき姿ではないかと思います。

私自身、コラムや自身のブログで「20歳を過ぎて芸能界を目指すことは厳しい」と事あるごとに言っています。でも、それは本当に正しいのだろうか? もしかしたら、20歳を過ぎても「輝きたい」と思っている人がたくさんいるのに、それに水を差すようなことを言っていないだろうか?

みちるちゃんの誕生日風景をカフェから眺めたとき、10月28日夜公演での野呂佳代ちゃんの誕生日風景を劇場内で観て、涙が出そうになったとき、そんな考えが頭をよぎりました。

そして、たどり着いた「年長組」に対する応援スタイルは、
「現実は厳しくとも、ユニットの中で一生懸命自分の居場所を探して、成果を上げた子には、できる限りのエールを送ってあげたい」
というものです。

それにしても「どうしてつらいなんて言うのかな、観てくれる、聴いてくれるお客さんがいるのに…」は、芸能界を目指している人にとっては想像以上に重い言葉です。もし「芸能界を目指すことがツライ」「レッスンがキツイ」と感じたら、この言葉を思い出してみてはいかがでしょうか。

【「チャレンジャー」であり続けること】

11月にリリースしたモーニング娘。の「歩いてる」は、モー娘。(ハロプロ)として久しぶりのオリコン1位を獲得しました。

ハロプロ自体、色々と危機が囁かれているとは言え、AKB48にとってはまだまだ足元にも及ばない存在であることを見せつけられました。

AKB48が、メジャーアイドルユニットになったにもかかわらず、インディーズ系のアイドルユニットのファンに強く支持されている理由は、秋元康プロデューサーが「チャレンジャー」の立場で臨んでいることに他なりません。

ハロプロが長年のキャリアの強さを見せつけたことによって「ハロプロとの勝負」を期待している人もいるかもしれません。でも、今は、AKB48にしかできないことを提示していって、芸能界に独自のスタンスを作ることが最重要課題ではないかと思います。

2007年1月31日にリリース予定の「制服が邪魔をする」は、私自身は、AKB48の独自性を前面に出すという、チャレンジ精神にあふれた楽曲であると評価しています。もし、全国の子供たちが「制服が邪魔をする」の振り付けを覚えて、社会現象になるだけの話題を提供できれば、きっとヤマは動きます。

果たして、2007年、AKB48は「最強のユニット」のカタチを示すことができるでしょうか。

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2006年6月7日
作詞:秋元康、作曲:岡田実音
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1,890円(税込)
ISBN 4063527425
2006年3月2日
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2006年2月1日
作詞:秋元康、作曲:上杉洋史

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