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AKB48 完全抽選制導入後の動きとチーム制復活

written by KEN

  Last Updated: 2008/04/23
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2005年12月14日からAKB48劇場に通い続けて2年3ヶ月、2008年3月31日のチームB 3rdステージ「パジャマドライブ」公演で、通算100回目の観戦(MVP)を迎えることができました。

本来なら、MVPを記念して(笑)、これまでの公演を振り返るような記事を書くのが定石なのでしょうが、ご存知のように、AKB48は、前回のコラムを執筆した後も、

☆完全メール抽選制導入(3月1日~)
☆チームB 3rdステージ「パジャマドライブ」公演スタート(同上)
☆研究生の相次ぐチーム入り
☆「ひまわり組」公演の終了と、チーム公演復活のアナウンス
  (ひまわり組 2ndステージは4月19日で終了、4月20日より、チームA、4thステージリバイバル公演スタート、5月末にチームK、4thステージスタート予定)
☆チームBから3人組ユニット「お菓子なシスターズ」誕生(3月31日のチームB公演でお披露目)
☆大江朝美ちゃん、中西里菜ちゃんが4月20日より劇場公演に復帰

といった大きな動きが起こっており、なかなか過去を振り返る余裕がないのが現状です。

そこで、公演を振り返る記事は、ブログ「KEN爺の小言(KKGT)」にて順次執筆していくこととして、コラムのほうでは、完全抽選制導入後の一連の動きから、チーム制の復活をネタに今後の方向性をコメントしてみたいと思います。

【アイドルファンの心を捉えた「パジャマドライブ」公演】

3月1日に初日を迎えたチームB 3rdステージ「パジャマドライブ」公演は、スタート以来、岡田編集長執筆のコラム「AKB48物語『3回目の桜とワッショイB』」にもあるように、多くのファン、関係者の間で絶賛の嵐が続いています。

私自身も、先に述べた完全メール抽選制が導入された中、3月1日、2日と連続して抽選が当たり、初日からの熱気の中で公演を観戦することができました。

さすがに、1曲1曲を丁寧に聴くヒマはありませんでしたが、チームK 3rdステージ「脳内パラダイス」公演を最初に観戦したときと匹敵するような高揚感を味わうことができ、高い評価の声に納得した次第です。

それでは、なぜ「パジャマドライブ」公演が多くのアイドルファンに受け入れられたのでしょうか?

理由は、次の4点に集約されると思います。

  1. 「脳内パラダイス」公演同様に、公演内での楽曲のシングル化はさしあたって計画に入っていないため、チームBに特化した楽曲、常連のファンにアピールするような楽曲を制作することができた。
  2. チームA、チームK、ひまわり組の人気曲のコンセプトを取り入れながらも、極力アーチスト色、メッセージ性を弱め、80年代の邦楽・洋楽のサウンド・リズムを素直に取り入れた楽曲に仕上げることによって、ファンが楽曲に対して感情移入しやすくなった。
  3. どのメンバーも、公演内で何度かセンターに立つ機会が与えられた。
  4. まゆゆ(渡辺麻友ちゃん)、ラブたん(多田愛佳ちゃん)が、別のユニット曲のセンターポジションを与えられ、チーム盛り上がりの必須条件である「ツートップ」体制が確立した。

特に項目(2)の「80年代の邦楽・洋楽のサウンド・リズムを素直に取り入れた楽曲」云々に関しては、AKB48劇場に通い続けるファンが、予想以上に現状のJ-POPシーンに違和感を抱いていることを実証した格好となっています。

楽曲といえば「パジャマドライブ」公演の最大のポイントになるナンバーは、やはり、まゆゆ、なっちゃん(平嶋夏海ちゃん)、はるごん(仲川遥香ちゃん)のユニットで構成されているタイトル曲ではないでしょうか。

最初聞いたときには、Aメロのリフがモロ「うしろゆびさされ組」で、AKB48にも楽曲を提供している後藤次利さんの作曲かと思いましたが、「楽曲情報」によると、シングル曲を多数手がけている岡田実音さんの作曲とのこと。ジャニーズ系にも多くの楽曲を提供している売れっ子コンポーザーとはいえ、これには唸りました(笑)。

当然、秋元先生からは「○○風に」という具体的な助言はもらっているでしょうが、80年代サウンドの幻影を残しつつも、単純な焼き直しではないダンサブルな楽曲に仕上げており、「パジャマドライブ」1曲を取っても、秋元先生とコンポーザーがガチンコ勝負していることが伝わってくるようです。

もちろん、チームBにも死角がないわけではありません。

現在、チームBをメンタル面で引っ張っているのは、チームA異動組の2人(浦野一美ちゃん、平嶋夏海ちゃん)であるのは事実で、2人が外部の仕事で長期間劇場を空けたとき、チームBオリジナルメンバーには、誰もが認める確固たるリーダーがいないのが現実です。

年齢的には、松岡由紀ちゃんが該当するものの、4月末現在も怪我で長期休演している状況では、体力的な不安が残ります。となれば、オリジナルメンバーとしては次に年齢が高い片山陽加ちゃんに白羽の矢が立つのは当然の理でしょう。

2ndステージ以降、公演中に、ときどき、Cindy(浦野一美ちゃん)が片山陽加ちゃんに「リーダー教育」をしているようなシーンにも出くわしました。3rdステージにおいても、最も歌唱力が必要なユニット曲「純情主義」のリードボーカルを担当していることを考え合わせると、スタッフ、メンバー間では「はーちゃんをチームリーダーに…」という方向性が固まりつつあるのではと推測しています。

いずれにしても、「パジャマドライブ」公演は、「つくばエクスプレス」のように、路盤(ステージ、楽曲)がしっかりした中で、まだまだ開拓の余地のある「伸びしろ」の大きい公演です。

今後も、観戦のチャンスがある限りは、一定の間隔を置いて劇場に通い、チームBの変貌ぶりを観察していきたいものです。

【チームA とチームKの位置付けの変化】

一方、チーム制の復活に関しては、AとKでは対照的な動きが見られます。

まず、チームKは、冒頭でもコメントしたように、「4thステージ」が5月末スタート(予定)、長期休養中だった梅ちゃん(梅田彩佳ちゃん)が復帰(予定)、研究生として活躍した倉持明日香ちゃん、成瀬理沙ちゃんのチーム加入と、公演スタートに向けて着々と足場が固まりつつあります。

コラム「AKB48 チームKと走った15ヵ月の軌跡」でも書いたように、チームKは「脳内パラダイス」公演で1つの完成を見たのは確かです。しかし、ひまわり組の公演を通じて「なちのん」(佐藤夏希ちゃん、野呂佳代ちゃん)、エロお姉さん(大堀恵ちゃん)、カナロン(小林香菜ちゃん)などの新しいキャラが構築され、「アイドル」という枠にとらわれないチームKの芸風はますます濃くなっています。

さらに「転がる石になれ」「友よ」「草原の奇跡」といった、アイドルっぽくない楽曲をファンに提示し、古典的、正統的なアイドルに関心のなかった層を取り込んだことも、AKB48におけるチームKの最大の功績です。そうした「非正統的」なコンセプトを継承しつつ、ファンの心に響くような楽曲、ステージが作られることを期待したいところです。

これに対して、チームAは、多くのメンバーが他事務所に移籍となり、正直なところ、チームとしてのアイデンティティが薄らいでいます。ならば、研究生にさらなるチャンスを与える場所、と割り切ってステージを構成するのが正解なのかもしれません。

あえてリバイバル公演としたのも、研究生により一層の奮起を求める意味合いが込められているのでしょう。現実に、星野みちるちゃん、増山加弥乃ちゃんが卒業、現メンバーも外部の仕事で休演が増えれば、新規にチームAに加入した藤江れいなちゃん、佐藤亜美菜ちゃんの他にも、複数の研究生の出演が不可欠で、「新しいもの好き」のファンにとっては、ここで思わぬ子が浮上するという楽しみも出てくるわけです。

もちろん、主力メンバーが外部の仕事で休演したときに、代役を立てられるのは、チームKも同じです。研究生の追加メンバーオーディションも、5名ほど合格したとの情報が、オフィシャルブログより入っています。AKB48に残る、残らないにかかわらず、発足当時からのチームA、チームKメンバーが「世代交代」の波を受けるのは避けられないと思います。

【ひまわり組の最終評価】

チーム制復活の一方で「ひまわり組」の存在意義を問う論調も出ています。

その多くが「表メン」「裏メン」の扱いを問題視するもので、確かに、今年の2月まで続いた並びのボーダー、グッズの売れ行き(オークションの価格)を通じて「表メン」と「裏メン」が比較される「格差」を生んだのは事実でしょう。

ただ、芸能界においては、そうした「格差」は日常茶飯事の出来事であり、他の芸能人から見れば、劇場内で、いくらでもリベンジ(お客さんへのアピール)の機会が与えられているAKB48は過去も現在も「恵まれた場所」であるのは間違いありません。

川崎希ちゃん、佐藤由加理ちゃんが事務所所属を勝ち取ったのも、先にコメントした「なちのん」の2人、大堀恵ちゃん、小林香菜ちゃんが、自虐ネタ、捨て身、代役で絶大なる存在感を発揮できたのも「ひまわり組」のシステムがあってのことだと確信しています。

「ひまわり組」の千秋楽は、4月18日(金)に「表メン」による公演が1回、4月19日(土)に「裏メン」による公演が3回行われました。これは、スタッフが、
「『ひまわり組』を支え続けた「裏メン」こそトリを務めるにふさわしい」
と明確に結論付けたことになります。「裏メン」と言われ続けたメンバーは、公演のトリを飾れたことに堂々と胸を張ってほしいですね。

楽曲的にも、ナベプロ(現:ワタナベエンタテインメント)全盛時代の昭和の歌番組を彷彿させる「アイドルなんて呼ばないで」、チームKスピリットを受け継いだ「草原の奇跡」の続編とも言える「向日葵」、大人のアイドル曲「Lay down」、Perfumeのアイドルっぽい部分をデフォルメした「初めてのジェリービーンズ」、小林香菜ちゃんのセリフが炸裂した「となりのバナナ」など「ひまわり組」は、予想以上に、今の音楽シーンを見据えた実験的、先鋭的な楽曲を生んできました。

「模索と試行錯誤の日々」の中から生まれたものは、結局のところ、AKB48が劇場公演を続ける上での指標であり、原点だったのではないでしょうか。

「パジャマドライブ」公演の好調ぶりは好調ぶりとして、AKB48がアイドルに関心を示すどんなジャンル、世代のファンも取り込んでいくという精神だけは維持してほしいと願っています。

【ライバルとの共存】

今年に入ってからのAKB48は、大手芸能事務所に移籍したメンバーが各種バラエティ番組で注目を集めたり、CDにまつわる商法が「AKB商法」としてメディア、一般の人から奇異の目で見られたりと、プラス、マイナス両面で常に世間の関心を集めるユニットに進化した一方、アイドルユニットとしては、Perfume、アイドリング!!!といった強力なライバルとのせめぎ合いが続いています。

ファンブログのアンテナを観る限り、3つのユニットのファンは相当に被っていますし、AKB48のメンバーの中にも、Perfume、アイドリング!!!のファンを公言している人がいるようです。

「大人の事情」はあるかもしれませんが、ここは、スタッフが率先する形で、互いのユニットを「ファンです」とか「ライバルです」とか公言し合い、いい形で「プロモーション」に利用することによって、アイドルシーン全体、ひいてはJ-POP(特に女性系)全体の活性化を促すべきだと思っています。

私自身も、MVP獲得を1つの区切りとして、AKB48以外のアイドルシーンにも可能な限り目を向けていきたい心境です。どこまで関われるかはわかりませんが(笑)。

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