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AKB48物語「SKE48、『大声ダイヤモンド』、3周年」

written by 岡田隆志

  Last Updated: 2008/12/09
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2008年8月23日、AKB48は日比谷野外大音楽堂で「ライブDVDは出るだろうけど、やっぱり生に限るぜ!AKB48夏祭り」公演を行いました。

ホールでの公演は1月に行われた「リクエストアワー セットリスト ベスト100」以来で、SKE48の初お披露目も含め30曲を披露しました。

終始雨が降っていて落ち着いて見られる状況ではなかったものの、たくさんの楽曲の中からのチーム曲、バラエティに富んだ人選でのユニット曲など、あっという間に時間は過ぎていった感じでした。

なかでも印象に残ったのはSKE48の『PARTYが始まるよ』で、遠い席から見ていても明確にわかる気合の入った力強い振りつけには正直、圧倒され、AKB48のどの『PARTYが始まるよ』よりも凄みのある、とてもいいパフォーマンスに見えました。

夏ごろからフロントで活躍しているメンバーのソロ活動のバリエーションも増えてきて、AKB48全体としてファンに披露する機会がめっきり減ってきていたので、いろいろな意味で最近のAKB48の歌の活動をまとめて聞くいい機会だったように感じました。

そして、その日にキングレコードから新曲(後に『大声ダイヤモンド』と発表)が発売されることが発表され、また、翌週の『AKB 0じ59ふん!』には大堀恵の卒業をかけたソロデビューの企画が発表されたのでした。

大堀めしべ『甘い股関節』

10,000枚突破に向けキャンペーンをしていた大堀めしべ(チームK大堀恵のソロアーティスト名)の『甘い股関節』。この企画が番組で発表されたのは彼女の25歳の誕生日の8月25日深夜。

スクランブルエッグ編集部が大堀恵さんを取材したのが8月初旬のことでした。そのときには本企画のことは知りませんでした。もちろん本人も知らなかったことでしょう。

なぜ大堀恵さんが秋元プロデューサーに面白いと思ってもらったかについてはわかりませんが、ムード歌謡、キャバクラ風PVをアイドルで行ったらどうなるのかを探ってみたかったのか、はたまた「雨の西麻布」(とんねるず)の女性アイドル版をやってみたかったのでしょうか。

「発売1ヵ月で1万枚を売らなければ卒業」という試練を乗り越え、無事達成でき、ソロデビュー第一弾としての面目躍如でした。それまで批判されていた抱き合わせ・セット商法に頼らずとも達成できた意義はあるのではないでしょうか。

名古屋の中心でダイヤモンドを発掘したと大声で叫ぶ!?

2008年10月5日、名古屋・栄でSKE48の公演が初日を迎えました。会場の「SUNSHINE SAKAE」はSKE48のための専用劇場でないため、毎日のように公演は行えないものの、地元の若年層のファンや女性ファンを巻き込んで熱気につつまれたステージを展開しています。

SKE48にはAKB48のチームA、チームK、チームBにはないものがあります。以前、ブログ「研究生公演はなぜ面白いかについての考察」について述べたのと同じ理由です。

ですから、ここでは、どのメンバーがこれから活躍していくのか、またどのメンバーを応援していくべきなのかを観客席にいるファンの一人一人が評論家になったかのように見定めているというのが“マニア的視点”あるいは“ブロガー的視点”での見方になるかと思います。

私自身も何人かピックアップしているメンバーはいますが、本コラムでは一応、差し控えておくことにして、読者のみなさんそれぞれのメンバーへの想いを増幅させていっていただければと思います。

それより多くのファンの方が気にしているであろう、超推されメンバー、松井珠理奈についてどういう評価をすべきかについては意見が分かれるところだと思います。

初日公演のあと、少しだけ本人とお話しする機会があったのですが、他の多くのSKE48メンバーと大きく違う点は、(1)AKB48のことをあまり知らない、(2)したがって萎縮したりしない、(3)もともと緊張せずに物事に取り組める環境にあった、という点が挙げられます。

ですから、秋元康プロデューサーや、知り合いのマスコミ関係者からはその存在感というか、オーラが認められたのではないかと思います。

皮肉なのかどうかわかりませんが、『大声ダイヤモンド』というのは、「名古屋の中心でダイヤモンド(松井珠理奈)を発掘したと大声で叫びたかった」のではないか(笑)という説もあったりします。

まあ、それは冗談にすぎないかもしれませんが、小学生・松井珠理奈の大抜擢により、AKB48に“化学変化”を起こしたかった秋元プロデューサーの意図はおわかりかと思います。マスコミ側はその意図を汲んで動きましたが、AKB48メンバーたちはその“意味合い”についてそれほど危機感を持っていなかったのが誤算ともいえるかもしれません。本当はその意味合いをわかって乗り越えていかなければならない現実を見すえてほしかったと個人的には思ったりもしています。

ソログラビア考察

今年の夏以降にメンバーのソログラビアが少しずつ形になってきました。篠田麻里子、佐藤由加理、川崎希、峯岸みなみ、小野恵令奈、大島麻衣、奥真奈美、大堀恵、大島優子……これからも続いていくことでしょうが、グラビアに関して言及するならば、どうも成功したパターンがまだ見えてきません。

そもそも何をもって“良質のグラビア”“成功したグラビア”と言うのかというのは立場によって違うのでなんとも言えませんが、ひとつは「時代を象徴するもの」が必要があることに異論は差しはさめないのではと思います。

「時代を象徴する」ので時代が変われば古くはなりますが、古くても光を放っているものが“良質のグラビア”の重要な要件であるのではないでしょうか。

そういった観点からすると、AKB48のソログラビアに関してはまだまだ“戦略”も“覚悟”もないような気がします。もちろんそんな挑戦が必要かどうかについてはそれぞれの立場で意見が食い違うでしょうから、「こうすべき」という答えがあるわけではありません。

もし、秋元プロデューサーがグラビアにも明るければ、もっと違った戦略、企画が本当はたくさんできたはずなんですが、ご本人もおっしゃっているように氏はグラビアには明るくないそうですので、どうしても内容が事務所の意向に沿ったものにしからならず、思い切った話題づくりができていないのが実情ではないかと、グラビアアイドルを取材している現場の立場から見て思います。

事務所サイド、出版社サイド、ファンサイドの意向が一致するわけではないのですが、企画主導でいった『AKB48 JUMP&CRY(篠山紀信撮影、2007年3月発行、小学館刊)だけが結果的に作品として異彩を放っている状況になんとも歯がゆいものを感じます。

いったい今、どういうグラビアを世に送り出していけばいいのでしょうか。それは私のこれからのライフワークのひとつでもありますので、今後、ブログにでも少しずつ書き残していければと考えています。

現在の状況だけ申し添えるならば、篠田麻里子の商品は売れていること、そして佐藤由加理の2nd 写真集はグラビアとしては他のグラビアアイドルと比較しても遜色のない仕上がりになっていることは言えるでしょう。

チームA 5th StageとチームA卒業生

2008年10月19日、チームA 5th Stage『恋愛禁止条例』公演がスタートしました。

解雇されたメンバーについて想起させるタイトルでしたが、歌詞を含め、内容についてはセンセーショナルなものではありませんでした。

絵巻物語上、触れておきますが、チームBの菊地彩香が、「AKB48のメンバーとしての自覚に欠けた軽率な行動を取った」ことを理由に8月14日付けで解雇されました。これもネット社会が産み出した残念な結果といえましょう。

ほかのアイドルグループのメンバーに関しても同様なスキャンダル(と言えるかどうかは微妙なものもあります)で脱退することもありますので、AKB48が特異なことではありませんが、こういった問題には特別気をつけなければいけないのがアイドルの世界。解雇が大きく話題にされたことがかえって復帰の足がかりになるという秋元プロデューサーの温情があったのではと感じる出来事でした。

卒業生が大量に出て、はたして「チームAらしさ」「AKB48らしさ」とは何かを問われる公演のように感じます。

2005年12月8日の旗揚げより見ている一人として「AKB48」というグループを支えてきた多くのメンバーのうちの5人が卒業し、残ったメンバーと新しく加入してきたメンバーで作る「チームA」とは果たしてどういうものなのか、というのにどう答えていくのかがポイントです。

とはいえ、その視点はひょっとしたら3年前から見ている人だけに共有できるものなのかもしれず、複雑な思いですが、歴史とは繰り返すものですから、私と同じ想いをされている方も少なくないと感じていただけるものだと思っています。

といいますのは、11月に武道館から15年ぶりに発売した東京パフォーマンスドールのCD 『GOLDEN☆BEST』発売記念イベントのMCをし、当時のメンバーと再会し、観客席にいるファンと一緒に昔話に花を咲かせた経験からして、メンバーは最初のファンしか覚えていないという現実を実感させられたからです。

そうです、そうなんです。残念ながら、メンバーは最初にファンになってくれたファンの顔しか覚えられないんです。だからこそ最初のファンになるべきなんだと思います。だからこそ先物買いのファンは研究生やSKE48に流れていくんです。

それは置くとして、A 4thリバイバルで閉塞した感がなきにしもあらずだったメンバーが一新されたことで新しい“化学変化”が良い方向で起きることを期待してやみません。

蛇足ですが、卒業した戸島花の歌声は評価に値するものでした。CDではっきり聴き取れるという意味では高橋みなみと双璧をなすほどの存在感があると個人的には思っているので、今後もなんらかの形で歌声を聴かせてもらいたいものだと思っています。

NHKホール、「紅白出場」ならず

2008年11月23日、AKB48はNHKホールで「まさか、このコンサートの音源は流出しないよね?」公演を行いました。

この公演で卒業するメンバーがいたことや、1公演しかなかったためにチケットが入手しづらかったこともあり、私自身を含め関係者の多くはステージを見ることができませんでした。

リハーサルは見させていただいたのですが、最後のほうはなかなか壮観な景色で、紅白に出してあげたいと誰もが思ったはずです。

『大声ダイヤモンド』のリリース時期やNHKホールの公演日などを考えてみると2年連続紅白出場に対するスタッフの意気込みは相当なものだったのは想像に難くないですが、残念なことに出場を果たすことができませんでした。

本来ならば2年連続出場を果たすことによって全国的「48」展開に拍車をかけたかったでしょうが、サブプライムローン問題に始まる世界同時不況による協賛企業の萎縮など、山積する問題が予想されそうですが、日本の代表的なアイドルとしての存在感は示せたはずです。

「AKBアイドリング!!!」

2008年12月5日「アイドル選手権『Push★1』」記者発表」においてAKB48とアイドリング!!!による新しいユニットが結成されることが発表されました。

これは政治の世界にたとえるならば「大連立」であり、ファンにはとても話題性の高いニュースとなり、秋元プロデューサーの企画力がモノを言う企画であるといえましょう。

また個人的な話で申し訳ありませんが、東京パフォーマンスドール『GOLDEN☆BEST』発売記念イベントのときに、当時のディレクターであった清水彰彦氏が、だいぶあとになって仕事でアップフロントに打ち合わせに行ったときにTPDのビデオが資料としてたくさん積んであったことを述べ、それについてのファンの質問にも「アイドルは過去のアイドルを参考にして作っていくものであって、それがどこか模倣だったとしても業界全体のことを考えれば常に過去を参照しているので参考にしてもらって構わない」と言っていました。

AKB48がどの程度TPDを参考にしているのかは知りませんし、「アイドリング!!!」がどの程度過去のフジテレビ系アイドルの手法を参考にしているのかは知りませんが、「大連立」そのものはアイドル市場を活性化するうえで、とても意味のあることのように思います(結果的にどこかが一人勝ちしなければ、という前提がありますが……)。

AKB48オンリーのファンにはわからないと思いますが、秋葉原の「アイドリング!!!」ソロメンバーのイベント集客力はAKB48ソロメンバーのDVDイベントよりもはるかに多いのが現実です。「AKBアイドリング!!!」の企画は若干閉塞したアイドル業界にとって新しい風をもたらしてくれるのではないでしょうか。

そして3周年

2008年12月8日、(原稿を書いている本日で)AKB48は劇場オープンから3周年を迎えることができました。

本来ならば私も劇場にお祝いに駆けつけたかったのですが、別スケジュールが入っていまして行くことができなかったのが残念でなりません。

最初の記事を作成したときに、いつまで続く企画なのかがまったくわからない疑心暗鬼の中で作ったことを覚えています。当然、業界関係者の視線は冷たいものでした。当然のことながら、『B.L.T.』も『UPToBoy』も『iモードで遊ぼう!』も相手にしてなかったというか、下手したら存在すら知らなかったかもしれません。

メディア的には『東京1週間』と『スクランブルエッグ』で最初はささえていたのかもしれませんが、実際にはブロガーであるファンの方たちのささえによるものが大きかった気がします。

そして秋元プロデューサーの意地もあったのでしょうか、アイドルにとってはとてもとても長い「3年」という時間を過ごすことができ、アイドルを見守る立場として3年という長い時間、応援しつづけられたことをとても光栄に思っています。

現状を申すならば、Webを中心とした「スピード」についていくことに媒体として必死な状況ではありますが、ほかの媒体にはないオリジナルな視点、オリジナルなコンテンツでこれからもAKB48を見守り、応援し、報道していけたらと思っています。

ファンの方、関係者の方、AKB48ファンの現役アイドルの方からのたくさんの直接の声援をいただきながら、AKB48とともにスクランブルエッグも成長していけたらと感じる次第です。

3周年本当におめでとうございます。

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